
私が一番好きなアーティスト/DJ Gareth Emery。日本語で書かれている彼を紹介するサイトは1つしか見つからず(探したらもっとあるのかも?)、しかもそれは超短くまとめられた2011年のもの。じゃあ私が彼の全てを紹介しようと思い、この記事を書く事にしました。それではGareth Emeryについて紹介していきます。
- Gareth Emeryとは
- Gareth Emeryの音楽・特徴
- Gareth Emeryの生い立ち・歴史
- LSR/CITY
- おすすめ/私のお気に入り曲
- Gareth Emery - Long Way Home
- Gareth Emery - Sansa
- Gareth Emery & Ashley Wallbridge - Kingdom United
- Gareth Emery - Elise
- Gareth Emery - Where Do We Go From Here
- LSR/CITY, Gareth Emery, Annabel - house in the streetlight
- LSR/CITY, Gareth Emery, Annabel - Don't Leave
- Ed Sheeran - Castle On The Hill (Gareth Emery & Ashley Wallbridge Remix)
- Gareth Emery - I Could Be Stronger (But Only For You)
- Gareth Emery feat. Maria Lynn - Missing You
- まとめ
Gareth Emeryとは
Gareth Emery(ギャレーズ・エメリー)。彼はイギリス生まれのDJ/プロデューサーです。主なジャンルとしてトランスミュージック(以下トランス)を作っています。本名はGareth Thomas Rhys Emeryで、1980年7月18日生まれの(2025年7月18日現在)45歳です。ファンの間ではGarethの文字をとってGazとも呼ばれています。以前はGTR、Cupa、Digital Blues、Rue de Gar、Runawayといった名義でも活動をしていました。現在では主にLSR/CITYという名義でも活動をしています。(後述)

彼は現在ロサンゼルスに住んでおり、2012年に結婚したKat Emery(キャット・エメリー)と、Sansa Emery(サンサ・エメリー)、Elise Emery(エライズ・エメリー)2人の娘と一緒に住んでいます。妻のKat EmeryはロサンゼルスでArt Angelsというアートギャラリービジネスを展開しています。

彼の妹であるRoxanne Emery(ロクサーヌ・エメリー)。彼女はシンガーソングライターとして活動しています。現在はRØRYというサイドプロジェクトでも活動しており、EDM好きな方は彼女の名前を一度見かけた事があるのではないでしょうか。今までにW&WやSALNDER, K-391, Dash Berlin, William Blackなどのアーティストの曲でボーカルを務めるだけでなく、Don Diablo, Joel Corry, Alison Wonderland, Alokといったアーティストの楽曲制作にも携わっています。勿論兄とのコラボ曲(Too Dark Tonight, Soldier)もあります。
Gareth Emeryの音楽・特徴

彼の主なジャンルはトランスです。ですが、彼の魅力は何といっても、他のジャンルの曲を作っても彼の曲だと分かるGareth Emeryサウンドにあります。近年ではトランスのみならず、DnBやポップ寄りの曲、ユーロビート、ロック風の曲、アコースティックソング、Melodic House、Chill Tranceなど様々な分野に渡って楽曲制作をしています。ですが、トランスじゃなくても彼のファンは彼の曲だと認識できるようです(これをGazサウンドと言うそうです)。ちなみに彼が自分を3つの言葉で表すとすると完璧主義者、音楽性がある, (大体)いい感じ だそうです。

そして彼の特徴として、誰もが目を引くライブプロジェクトがあります。2017年にアメリカで世界的レーザーデザイナーのAnthony Garciaとコラボを組んで始めたプロジェクトlaserfaceは、1つ1つの音にシンクロされて動くレーザーが何といっても特徴です。 このプロジェクトは2020年に幕を閉じましたが、2021年には新たなプロジェクトとして自身の別名義であるLSR/CITYという名前で始めたプロジェクトがあります(後述)。
これらのライブプロジェクトの動画は彼の公式チャンネルでも多数アップされており、ライブの雰囲気がよく分かるかと思います。正に生きてるレーザーです。
Gareth Emeryの生い立ち・歴史
幼少期~GTR名義での活動

彼はイギリス サウサンプトンで生まれました。イギリス南部、ハンプシャー州に位置するこの港町で、彼は音楽的な家庭に育ちました。彼のお父さんはクラシックギターの愛好家であり、お母さんも多様な音楽ジャンルに親しんでいたため、幼いころから自然と音楽に触れる環境に恵まれていました。4歳からクラッシックピアノを習い始め、学校のバンドでギターを弾いたり、小さい頃から音楽に関わっていました。この頃に幅広いジャンルに親しんだことが、彼の後の多様な音楽スタイルに影響を与えました。そして18歳になり、1998年にダンスミュージックの聖地とも呼ばれているスペインのイビサ島に行くと彼の考えが変わり、ダンスミュージックの世界に興味を持ち始めます。

特にトランスに興味を持つようになったのは、所属していたウォリック大学で政治学の学位を取得していた時の事でした。90年代後半から2000年代初頭は、イギリスのクラブカルチャーが隆盛を極めた時代であり、特にトランスは一大ブームを巻き起こしていました。この影響を受けて、彼もクラブイベントに通い、DJ文化に没頭していきました。本格的に音楽制作に取り組み始めたのは大学在学中で、当初はアマチュアの範疇でしたが、独学でシンセサイザーや作曲ソフトを学び、次第にその才能を開花させていきました。他の人の曲をリミックスし始め、自分のトラックを制作するようになりました。当時、彼がよく通っていたイギリスにあるGodskitchenやGatecrasherのようなクラブの音楽と雰囲気がとても良かったらしく、それが彼をEDMの世界へと引き込みました。
そして、2002年に彼のデビューシングルであるThe ShrinkのRemix曲であるNervous Breakdown 2002をGTR名義でリリースします。この曲はBBC Radio 1で放送され、回線がパンクするほどリスナーからの問い合わせが殺到し、一躍シーンにデビューしました。
彼のファンの間では彼のキャリアを加速させたのは同年にリリースしたMistralだと言われています。たった2週間で完成させられたこの曲は、まずドイツ生まれのDJ/プロデューサーPaul van Dykに送られ、2002年にドイツで開催された音楽フェスNature OneでPaul van Dykが初披露し、多くの人がこの曲に注目しました。そのフェスの後には、ネットの掲示板に"Paul van Dykがプレイしたあの曲を当てよう"というスレッドが立ったくらいでした。リリース後はTiestoやArmin van Buuren, Ferry Corstenといった大物DJからのサポートを受け、キャリアを大きく加速されました。その後もPaul van Dykのセットで頻繁にこの曲が使われ一躍彼の名は広まっていく事になりました。

そして2003年、彼はFive AM Recordsの所有者となります。元々このレーベルは1999年から存在はしていましたが、2003年にレーベルを所有する会社が倒産してしまい、彼と元々所有をしていたAlexis Hooper(同じくイギリス生まれのDJ/プロデューサー)が清算人から買い取り、2人で経営を始める事になりました。これにより、彼はさらにクリエイティブな自由を手に入れ、自己プロデュースによる作品リリースが可能になりました。そして、GTRとしての活動の後、自らの本名Gareth Emeryで活動を開始しました。この名義変更には、音楽スタイルがよりパーソナルで幅広いものへと進化したいという意図がありました。
Gareth Emeryとして活動~Garuda開設
2006年に彼はアメリカ生まれのDJ/プロデューサーVinny TroiaのFlowのRemixをリリースします。この曲はリリース後に多くのクラブやラジオでプレイされ、2006年10月28日の週にはビルボードのDance Club Songsチャートで24位を記録します。(ちなみにこの時の一位はJustin TimberlakeのSexy Backです)
同年3月、ポッドキャスト番組Gareth Emery Podcastの制作を始めます。この番組は2014年の第310回まで続き、その間にはMiami Winter Music Conferenceという世界的に大きな音楽カンファレンスにおいてベストポッドキャスト部門で3度のノミネートを記録しています。
そして同年、彼はDJ MAG Top 100に初のランクインを果たします。順位は34位でした。同じく同年に初ランクインしたDJとしてはAxwell, Steve Angello, Darure, Lange, Sandor van Doornなどが挙げられます。この頃から彼は世界クラスのDJと肩を並べる存在となり、国際的な音楽フェスなどに招かれるようになりました。

彼は26歳までサウサンプトンに住んでおり、その後マンチェスターに移り、そこでスタジオを持ちました。2008年末にはFive AMを脱退し、Garudaと言うレーベルの経営とナイトクラブを始めました。Garudaのサウンドは、トランスを基盤としながらも、プログレッシブ、エレクトロ、ポップスなどを柔軟に取り入れる特徴を持ち、ジャンルにとらわれない自由な音楽表現を体現しています。ちなみに、この名前の由来は彼がインドネシア旅行で知った、インド神話に登場する鳥の神様 ガルダ(Garuḍa)にちなんで名付けられたそうです。そして、このレーベル最初のリリースは2009年にリリースされたThe Sound of GarudaというCDでした。
このCDに収録されているMetropolisとExposure。この2曲はリリース後爆発的ヒットを記録し、世界中のクラブシーンでアンセムとなったビッグトラックになり、Armin van BuurenやAbove & Beyond, Tiesto, Paul van Dykなどのプレイリストに名を連ね、彼の名はヨーロッパ全土のみならず世界中に響き渡りました。現在でもこの2曲を彼はライブ中に使用しています。きっと彼の中でも思い入れのある特にお気に入りな曲なんでしょう。
そして、2006年のDJ Magランクインに続き、2007年には31位、 2008年に23位、 2009年に9位と順位を伸ばしていき、2010年にはなんと史上最年少で7位にランクインを果たします。2010年の1位はArmin van Buuren。Gazの上に他にはDavid GuettaやTiesto, deadmau5, Above & Beyond, Paul van Dyk。こんなにトップアーティスト達がいる中で7位にランクインを果たすというとんでもない成果を残しました。
Northan Lightsリリース~DJ MAG論争

そして2010年にファーストアルバムであるNorthern Lightsをリリースします。このアルバムはアメリカのiTunesダンスミュージックチャートで一位を獲得し、彼にとって大きな転機となります。
というのも、このアルバムの収録曲であるSanctuaryが莫大なヒットを記録します。たった2週間で作られたこの曲はArmin van Buurenが主催するラジオ番組A State of TranceのTune of the Year(番組のリスナーが投票で決めるその年の一番好きな曲ランキング)(以下ASOT)で2位に選ばれるなど、今までの彼のトラックで最も成功した曲になりました。この曲は彼自身が暗い時期を過ごしていた時のリアルな気持ちをベースにしています。他の収録曲もエモーショナルかつダンスフロア向きの名曲が並び、リスナーと批評家の双方から絶賛を受け、彼の名前はトランスシーンだけでなく、EDM界全体に広く知られるようになります。
翌年の2011 年にはNorthern LightsのRemixアルバムNorthern Lights (Re-Lit) をリリースしました。このアルバムでRemixを手掛けたアーティストとしてはJohn O'Callaghan, Super8 & Tab, Dennis Sheperd, Lange, Giuseppe Ottaviani, Jorn van Deynhoventらと言ったトランス界の重鎮。更にはHardwellやARTYといったアーティストが参加をしています。
2012年。イギリス生まれのDJ/シンガーソングライターChristina Novelliをボーカルに迎えたConcete Angelをリリースします。この曲はリリース後二週間で100万回再生を記録し、現在ではYouTubeで8400万回再生、Spotifyでは5500万回再生を記録し、彼の最も有名な曲となっています。先ほど紹介したSanctuaryと同じくASOTの2012年のTune of the Yearでは1位を獲得しました。そして、同年ラスベガスにオープンした次世代のIbizaと呼ばれていたクラブMarquee NightclubのレジデントDJになりました。
しかし、2013年彼は、莫大なマーケティング予算が関係していると判明した、DJ Mag Top 100の投票で自分に投票するのをやめるようファンに促しました。代わりに、彼はその同額の予算を慈善団体に寄付しました。この問題に関してはアメリカ生まれのDJ/プロデューサーKaskadeやDiplo、deadmau5など多くのDJが長年言及していました。彼はこの問題に関してこう語っています。
"DJ Mag Top 100の投票に向けてDJの宣伝を手伝っている宣伝会社から変な一方的な電
話が来て、話を聞いてみたところ『君の競争相手の1人がTwitterの広告だけで 15,000 ドルを費やしていることを知っておくべきだ』って言われたんだ。そういうレベルに達しないと競争するのは難しいって思っちゃうよね。もちろん、そのDJが誰かは言わないけど、なんか口の中が気持ち悪くなりそうだったよ。
そこで、DJ Mag Top 100では僕に投票して欲しくないんだ。真剣に言うと、クラブで僕を見る為にチケットを買ってくれることが僕にとっては投票することだと思ってる。車の中で僕の音楽を流したり、Facebookでシェアしたり、友達に僕の事を教えたりすることも僕からしたら投票になる。こんな感じのことと、去年皆がしてくれた素晴らしいサポートが僕にとっては重要なんだ。
それでも、もし僕に投票するつもりなら、プロモツイート、スポンサー記事、バナー広告、リブランディングされたTwitterとかにお金を費やしているDJ達に代わりに投票してほしい。彼らが自分の投票数を気にしてるなら、そのまま放っておいてほしい。皆が投票しない代わりに、どうてもいいことにお金を費やすんじゃなくて、僕は同額を慈善団体に寄付するつもりなんだ。そうすれば、そこから何か良いことが生まれるかも知れないからね。
皆はこの話についてどう思うかな。明日、僕が好きなさまざまな慈善団体に関するアンケートを出す予定だよ。皆の投票で、僕がどの慈善団体に寄付するかを決めることが
できる。皆と一緒に何か良いことができるんだ。恥ずかしいって思うよりも、誇りに思って投票をお願いしたいな。"
この投稿を出した年のランキングの結果は51位という風になりました。2014年には74位。2015年にはランキングから外れることになりました。この話は2016年に続きます(後述)
Driveリリース~100 Reasons To Liveリリース

Drive
そして2014年。セカンドアルバムとなるDriveをリリースします。このアルバムは彼が2013年に妻と始めたアメリカ横断ドライブからインスパイアを受けており、タイトルもそこからとられています。彼の音楽的冒険心がさらに広がった作品でもあり、Driveをテーマに、旅の感動、孤独、自由を音楽に変換しています。コラボ相手としてアメリカ生まれのデュオDJ/プロデューサーKrewellaや、Concrete AngelのボーカルであったChristina Novelli、妹のRoxanne Emery、イギリス生まれのトランスDJ/プロデューサーBen Goldなどが挙げられます。
その収録曲の中でもアルバムの最後のトラックにもなっているLong Way Homeは現在YouTubeにおいて約4025万回もの再生回数を記録しており、彼の中で最も有名な曲の内の1つとなっています。このアルバム以降では各アルバムの最後の曲はクロージングトラックと呼ばれています。この印象に残る哀愁漂うメロディーは彼がアメリカ横断ドライブ中に思い浮かべたものとなっていて、ノスタルジックなインストトラックはアルバムのエンディングにふさわしい、帰路の切なさを完璧に描写しています。(ちなみにこの曲私が始めて聴いた彼の曲です)
翌年にリリースされたリミックスアルバムであるDrive : Refuneでは超豪華メンバーが参加をしており、トランス界の重鎮Cosmic Gateを始めR3hab, W&W, Deorro, Sunnery James & Ryan Marciano, Coone, Darren Styles, Stadiumxなど幅広いジャンルに渡って多くのアーティストが参加をしています。中でもこのアルバムの収録曲であるUのBryan KearneyリミックスはASOTのTune of the Yearにおいて1位を獲得しました。

2016年には3枚目のアルバムである100 Reasons To Liveをリリースします。このアルバムは彼がキャリアの中で直面した人生の低迷期から立ち直った記録とも言えます。人生の苦悩や希望をテーマにした楽曲が並び、生きる理由を見つける旅が、アルバム全体を通して感じられます。このアルバムはUK ダンスアルバムチャートで6位を記録しました。コラボ相手としてアメリカ生まれのデュオシンガーソングライターAlex & Sierraや、イギリス生まれのポップロックバンドLawson、アイルランド生まれのシンガーソングライターJanet Devlinらとコラボをし、トランスのみならず多くのジャンルのアーティストらとコラボをするきっかけのアルバムとなりました。
勿論このアルバムもRemixアルバムがリリースされます。Drive : Refuneでも豪華メンバーが参加をしていましたが、今回もFerry Corstenを始め、Craig Connelly, Ben Nicky, Giuseppe Ottaviani, William Blackなどの豪華メンバーがを参加しています。中でもRecklessのSTANDERWICK Remixは2016年のASOT Tune of the Yearで2位を獲得しています。
そしてこのアルバムの収録曲であるCVNT5。この曲はイギリス生まれのDJ/プロデューサーAshley Wallbridgeとのコラボ曲です。この曲のMVはEDMシーンの風刺やDJ Mag Top 100の皮肉をテーマとしています。この曲と関連してWE ARE CVNT5というモキュメンタリーも配信されており、全8エピソードでFacebookにて配信されています。
内容としては...
"フォーブスの最も稼いだDJのリストランキングに掲載されることを望んでいた、Gareth EmeryとAshley Wallbridgeの2人。彼らはゴーストプロデューサーを雇って曲を作り、馬鹿みたいな服とウィッグを身に着けながら多くのTwitterフォロワーを金で獲得することで、国際的なスターの座に上り詰めた。
広告に5万ドルを投資したり、票を獲得する為にベトナムの闇市場のクリックファーム(クリック詐欺の一形態であり、クリック詐欺師のリンクやボタンをクリックさせるために低賃金労働者の大規模なグループが雇われる事を指す from Wikipedia)に金を支払ったり、DJ Magの主要人物に賄賂を贈りました。しかし、CVNT5は最終的にランキングでは2位を獲得することになるのです..."
物語の続きは是非自分の目で確かめてください。無料で見れるので是非皆さんに見て欲しいですが、一部のDJに対する衝撃的なシーンもあるので閲覧の際はお気をつけて...
Saving Lightリリース~Kingdom Unitedリリース
2017年にカナダのレーベルMonstercatから、STANDERWICKとHalieneとコラボしたSaving Light をリリースしました。この曲とミュージックビデオは、子供や若者のいじめ防止を目指す慈善団体Ditch The Labelとのコラボレーション作品です。そして2017年のASOTのTune of the Yearで1位を獲得しました。この曲は本来、もっとダークで重いアレンジにするつもりだったそうです。ですが、SRANDERWICKと相談して 希望の光を感じられる曲に方向転換したそうです。Beatportのトランスチャートで1位を獲得し、売り上げの一部が慈善団体に寄付されました。単なる楽曲を超えて、社会的アクションに繋がった正に奇跡の作品です。

2019年には3枚目のアルバムKingdom Unitedをリリースします。このアルバムはイギリス生まれのDJ/プロデューサーAshley Wallbridgeとのコラボレーションアルバムとなっています。今までにDUIやCVNT5, Mansionでコラボしてきた彼らが旅の新たな地点に到達しました。このKingdom Unitedというタイトルには、イギリスのクラブシーンが再び盛り上がることへの願い、2人の友情の象徴という二重の意味が込められています。
この2人が出会ったのは、イギリスのダンスミュージックシーンの中でした。2人の共通点は、美しいメロディを作ることへの異常なまでのこだわり。最初の頃はお互いソロ活動が中心だったのですが、音楽フェスやイベントで顔を合わせるうちに、自然と意気投合していったそうです。そして2011年ごろから、リミックスや共同制作を少しずつ始め、このコラボアルバムを完成させることになりました。互いにプライベートでも支え合っていて、辛い時期は夜中でも電話し合っていたらしいです。単なる仕事仲間じゃない音楽を通じた家族みたいな関係なんですね... このインタビュー動画を見ると分かりますが、かなり仲が良いです。
THE LASERSリリース~Analogリリース

THE LASERS
2020年には4枚目のアルバムThe Lasersをリリースします。このアルバムはほぼ全ての曲にイギリス生まれのシンガーソングライターAnnabelが楽曲制作/ボーカルとして参加しそれまでのトランス中心の路線を大胆に離れ、よりオルタナティブ、シンセウェーブ的な方向へ進んだ作品で、彼にとって革新的なアルバムとなりました。その後Annabelは彼の主催するレーベルWe'll Be OK(Garudaの後継だと思います。いつの間にかレコードが変わっててあまり詳しい情報がありません。そして現在はこの名前は使われてない様です)と契約をし、アルバムリリース後もシングル曲で彼と多くのコラボ曲をリリースしています。
このアルバムの収録曲であるYou'll Be OK。この曲は彼の中でも最も有名な曲の内の1つで、現在YouTubeで840万回再生、Spotifyでは2600万回再生を記録しており、2020年のASOT Tune Of The Yearで2位を獲得しました。彼自身の過去を掘り出して、その感情を歌詞に込めたそうです。そうやって出来た歌詞はとても感情的で、誰もが人生のどこかでこの曲に共感できることでしょう。彼はこの曲が好きすぎて聴いてる内に涙が止まらなくなったと、今までで一番良い曲になったと語っています。

そして2022年の12月に5枚目のアルバムAnalogがリリースされます。しかし、彼は同年6月にこのアルバムが自身の最後のアルバムであることをアナウンスしました。
Thinking ANALOG might possibly be the last album I release via conventional streaming platforms.
— Gareth Emery (@garethemery) 2022年2月28日
Really inspired seeing artists who entirely own their own economics. Buy the NFT, unlock the album. All the joy of old school record collecting in the digital space.
彼の長いキャリアの中で、いきなり次のアルバムが最後のアルバムになると言われた時は驚きました。彼はその理由についてこう語っています。
"僕は決まったやり方に長く固執するタイプじゃなくて、良い形で終わらせることを好むタイプなんだ。Analogを作り始めた時、ずっと語り続けてきた物語が終わったような気がしたんだ。2010年、マンチェスターのサンキーズ(マンチェスターで有名だったクラブ)の地下室で汗まみれになりながらNorthern Lightsを制作したことから始まった物語は、2022年のパンデミック後の希望に満ちた世界で幕を閉じるんだ。アルバム制作を続けてきた12年間は素晴らしいものだったけど、時には物語をいつ終わらせるべきかを知る必要があるんだ。"
このアルバムに収録されているクロージングトラックであるWhere Do We Go From Hereは彼の最後のアルバム曲となっており、Northan Lightsから続いたGareth Emeryの物語は一旦ここで幕を閉じる事になります。けれど、活動を休止する訳では無く、これからもシングル曲や、EPはリリースをしていくとの事でした。このアルバムのクロージングトラックであるWhere Do We Go From Hereは正にこの物語の終幕に相応しい一曲となっています。
そして2021年4月6日。彼は新たなプロジェクトLSR/CITYをアナウンスします。ここからまた新たな彼の物語が始まります...
LSR/CITY
彼はレーザーディスプレイ、3Dデジタル環境、そしてライブパフォーマンスを統合した没入型エレクトロニックダンスミュージックプロジェクトLSR/CITYを発表しました。このプロジェクトは、自身のオリジナル楽曲とレーザーにインスパイアされた仮想環境を組み合わせたNFTコレクションと同時に発表され、彼の音楽におけるブロックチェーン技術の探求を象徴しています。
2021年4月15日、彼は5曲のオリジナル楽曲を収録したNFTコレクションを発表しました。新型コロナウイルスの影響でlaserfaceの続きである新たなライブをする事ができなくなり、このアイデアを思い浮かべました。3DアーティストのIlya Tsvetkovと、レーザーデザイナーのPhoton Lasersとコラボして始まったこの取り組みは音楽とブロックチェーン技術を融合させ、ファンに彼の作品との新たな関わり方を提示しました。
LSR/CITYの初ライブは、2022年5月19日、EDCウィーク中にラスベガスのサハライベントセンターで開催されました。LSR/CITYは彼が手掛けた別名義のプロジェクトであり、Gareth Emeryのライブとはまた違った没入型コンサート体験を提供します。このプロジェクトは、音楽、同期したレーザー、3Dデジタルビジュアル、そしてライブパフォーマンスの要素を融合させており、先述したlaserfaceツアーの後継となります。 このライブでは、新たなシンクロナイズドレーザーや3Dビジュアルが初披露され、多くの新曲や、IDが披露されました。このライブはツアーではなく、この1公演のみとなっています。
2022年半ばには、LSR/CITY V2ツアーを発表し、2019年laserface以来最大のツアーとなりました。2022年9月24日にロサンゼルスのシュラインオーディトリアムでスタートし、北米5都市でチケット完売となりました。各公演ではAnnabelによる生ボーカルが披露されパフォーマンスを披露し、彼もギターとシンセサイザーを演奏しました。ツアーのフィナーレは2022年12月3日にミネアポリスのアーモリーで行われました。
2023年9月には長い間リリースがなかったLSR/CITY名義でのリリースがあり、8月には多くのID曲を含んだ約1時間に及ぶMixが公開されました。多くのID曲が収録されており、またここからLSR/CITYの活動が活発になるのではないかとファンの間で噂されていました。
2024年には、LSR/CITY V3を発表します。ツアーは2024年2月10日にバンクーバーのパシフィックコロシアムで幕を開け、このツアーは13都市 16公演にも及ぶ自身最大級のツアーですが、ほぼ全ての公演が売り切れになっています。ハリウッドパラディアムやデンバーのミッションボールルームなどの北米の有名な会場でライブを行い、LSR/CITY V3の公演中もV2と同じく、Gareth Emeryはシンセサイザーを生演奏し、Annabelがボーカルを担当しました。
そして2024年10月14日、彼はLSR/CITY CYBERPUNK TOURを発表しました。このツアーは2025年初頭に北米17都市を巡回し、同年9月6日にはイギリス ロンドンのO2アカデミー・ブリクストンでヨーロッパ初のレーザーライブを行う予定です。彼はこのツアーで、今まで以上に多くのレーザーを使用し、視覚的なスペクタクルを高めるために特別に設計されたシステムを活用することを明らかにしました。音楽、レーザー、映像、そしてステージ上のライブパフォーマンスを組み合わせたサイバーパンク風のツアーのテーマは「ディストピア的な未来の世界で、メロディーと人間の感情が人工知能の暗黒の勢力と戦う場所」と彼は語っています。(ちなみに上の動画はLos Angeles公演ですが、他の公演よりレーザーの数が多いらしいです)
最近ではGareth EmeryリリースよりもLSR/CITYリリースの方が圧倒的に多くなり、7/25にはCYBERPUNKライブアルバムもリリース予定です。リリース曲の中でもhouse in the streetlightはYouTubeで710万回、without uは565万回再生を記録しているなど、かなりの人気を博しています。Gareth Emery名義ではアルバムリリースは今後一切ないですが、もしかしたらこっちの名義ではあるかもしれないですね。これからのLSR/CITYが楽しみです。
おすすめ/私のお気に入り曲
彼の曲には数多くの素敵な、素晴らしい曲が何個もありますが、私が彼の曲の中でも特におすすめ・お気に入りな曲を頑張って苦労してなんとか10曲に絞ったので紹介したいと思います。
Gareth Emery - Long Way Home
先ほども紹介した様にこの曲は2014年にリリースされたアルバムDriveのクロージングトラックとなっています。私が初めて聴いたGareth Emeryの曲でもあり、当時中学生だった私にはあまり刺さらなかったんですが、彼を好きになってから聴いてみると、あらびっくりなんて綺麗なトランスソングなのでしょうか... こんなに長い曲なのに心地よいトランス曲は彼にしか作れないです。
Gareth Emery - Sansa
この曲は2016年にリリースされたアルバム100 Reasons To Liveのクロージングトラックとなっています。正にLong Way Homeの続編といった感じの曲で、こちらもかなり心地良い曲ですが、トランス色がより強くなっています。laserface San Franciscoの締めにこの曲が使われたのがかなり印象的でしたね... ちなみに曲名のSansaは彼の娘の名前です。
Gareth Emery & Ashley Wallbridge - Kingdom United
この曲は2019年にリリースされたアルバムKingdom Unitedのクロージングトラックとなっています。私が彼を好きになったきっかけの曲で、Gareth EmeryのいいとことAshley Wallbridgeのいいとこが盛大に混ざってめちゃめちゃ綺麗なトランス曲になっています。大英帝国万歳。
Gareth Emery - Elise
この曲は2020年にリリースされたアルバムThe Lasersのクロージングトラックとなっています。クロージングトラック初のボーカル付曲となっていて、The Lasersの収録曲全てでボーカルを務めているAnnabelが参加をしています。ちなみに、この曲の曲名Eliseも彼の娘の名前です。この曲の歌詞はそのEliseちゃんに関するエピソードを交えています。気になる方は是非メイキングを見てみて下さい。
Gareth Emery - Where Do We Go From Here
この曲は2022年にリリースされたアルバムAnalogのクロージングトラックとなっています。彼の最後のアルバムで、最後のクロージングトラックであるこの曲は、ボーカル付ではなく語り手付というかなり挑戦的な曲となっています。が、完成度は激ヤバ熱です。Northan Lightsから始まった物語を締める様な言葉がとっっっっても印象的で、メロディーも綺麗で正に彼の最も完成された曲なのではないでしょうか。
LSR/CITY, Gareth Emery, Annabel - house in the streetlight
この曲は彼の別名義であるLSR/CITYからのリリースとなります。初披露したのはEDC LasVegas 2023でした。彼初のEDCメインステージでのプレイだったということもあって、配信を見ていた人はこの曲を聴いたことがある人も多いはず。Annabelの得意とする高音ボイスと、彼のトランスが最高にマッチしてこれまた綺麗過ぎる曲となっています。
LSR/CITY, Gareth Emery, Annabel - Don't Leave
この曲は同じくLSR/CITY名義で去年リリースされた曲です。7/25にリリースされるLSR/CITYのライブアルバムのクロージングトラックにもなっています。正しくそれに相応しい曲の構成になっており、エモーシャルなメロディーに、Annabelの高音ボイスがマッチしています。私のここ数年で一番お気に入りの曲です。愛してます。
Ed Sheeran - Castle On The Hill (Gareth Emery & Ashley Wallbridge Remix)
この曲は2018年に初披露されました。珍しく大物アーティストであるEd Sheeranの曲をRemixしてますが、この曲は非公式Remixであり残念ながらリリースはされていません。ですが彼がインスタに"Edはこの曲を気に入ってくれた"とどっかの投稿で載せていましたどれかは忘れました。なのでもしかしたらワンチャンあったのかもしれませんね... 音源は彼の公式サイトのメアド登録をしている人限定に配られていました。YouTubeやSoundCloudを探すとあるので気に入った方は探してみて下さい。
Gareth Emery - I Could Be Stronger (But Only For You)
この曲は2016年にリリースされたアルバム100 Reasons To Liveの収録曲となっています。彼らしくないPop寄りの曲調ですが、それでも彼の曲だと分かる音使い(Gazサウンド!!!)が大好きです。歌詞もシンプルな恋愛系の事を書いており、どんな人にも理解される歌詞になってると思います。
Gareth Emery feat. Maria Lynn - Missing You
この曲は2023年にリリースされたシングル曲です。まるで数年前の彼の曲を思い出させる様な曲となっており、綺麗なトランスメロディーが個人的にぶっ刺さりました。ボーカルもこれまた歌いたくなるような高音ボイスが堪らないのです...
まとめ
いかがでしたでしょうか。なるべく詳細に彼の人生をまとめ、魅力を伝えてみましたが、この記事を見て彼に興味が湧いた人がいれば私としては幸いです。正にEDM界を代表するDJ/プロデューサーとも言える彼ですが、なんと今までの来日は一度のみ(2011年)。何故来日しないのか考えてみましたが、今の日本のEDM文化を支えている若者が皆トランスに興味がないのかな...と思いました。実際Xでも同年代にトランス好きを見かけませんしね... だからクラブ側もブッキングしないのかなぁなんて...

近年ではMaRLoや、Paul van Dyk, Ferry Corsten, Craig Connellyといったトランスアーティストが数多く来日しているので、LSR/CITY CYBERPUNKのツアーが終わったらもしかしたら... なんて考えています。彼自身も2023年には"今年はTokyoを東京でプレイするかも!!!"という投稿をインスタで出したり、飛行機の乗り換えで日本に来ていてDMで"ライブしないの?"と聞いてみた所"Very Soonだよ!!"と返事が来たので、いつかは近い内にライブしたいとは思っているんでしょう。

これから彼の音楽はどう変わっていくのでしょうか。LSR/CITYでの活動を始めてから彼の音楽には少なくとも変化があったと思います。勿論Gareth Emeryでのアルバムリリースはもうないので、LSR/CITYの活動に力を入れて、曲調が変わっていくのは仕方のない事だとは思いますが、個人的には今までの彼のサウンド(Gazサウンド)をいつまでも続けて欲しい所です。

彼はこんな事をAnalogリリースの前に語っていました。
"音楽の世界で実現したい夢はまだ沢山あるんだ。皆と一緒にこの旅を続けられるのが待ちきれないよ。"
最近ではトランスのみならず、DnBやユーロビート、Hardstyle、Pop、アコースティックソングなど色々なジャンルに挑戦していく中で、彼のこれからが楽しみで仕方ありません。そして、私の夢は彼に会って、感謝を伝える事です。私を変えてくれた、彼の曲が楽しみで頑張れた、何度も彼の音楽に救われた。そんな彼に感謝を伝えたいです。
最後に彼の曲のタイトルと共にこの記事を締めたいと思います。
Where Do We Go From Here?
